12年同棲した彼が出て行った夜、彼が心変わりした理由と私の決意

12年同棲した彼が出て行った。

私には、今起こっていることが現実のものとは信じられなかった。12年という年月は、こんなにあっけなく消え去ってしまうものなのか。

悲しさを紛らわす方法

その夜、私は完全に混乱していた。涙がでてきて、嗚咽が止まらなかった。こんな仕打ちをした彼がにくいと思った。苦しかったし、こんなふうに私を苦しめた彼のことを憎んだ。あんなに慈しんだ彼のことを、心から憎いと思った。

冷蔵庫から、栓が開いている赤ワインのボトルを出した。ワイングラスに赤ワインを注ぐと、二人で笑いながらいっしょに赤ワインを飲んだときのことがよみがえって、つらかった。

この悲しみとくやしさを、どこにぶつければいいのかわからない。

ガラス戸棚のガラス越しに、ポテトチップスの袋が見えた。彼は、子供みたいにスナック菓子が好きで、これも彼が自分で買ってストックしていたものだ。

それを乱暴に取り出し、引き裂くような勢いで封を開けて、口いっぱいにほおばった。涙が止まらない。噛めば噛むほど、涙があとからあとからあふれてきた。

食べても食べても満足できなかった。頭がおかしくなっていたんだと思う。ポテトチップスの袋はあっという間に空になり、その奥にあった別のスナック菓子を開けて、また口に詰め込んだ。

後悔と恐怖

怖かった。一人になるのが怖かったのだと思う。40歳手前にして、12年幸せな時間をいっしょに共有してきた彼を失った。彼にとっての12年は、私の12年ほども重みがなかったのかもしれない。彼にとっては、惰性の12年だったのかもしれない。でも、だからといって、こんなふうに裏切るのは許せない。

ワインとスナック菓子。ワインボトルが空になったら、次のボトルを開けた。スナック菓子がなくなったから、ちなくのコンビニに買いに行った。化粧もしないで平気だった。かごいっぱいにスナック菓子を買ってかえって、ソファでひたすら食べた。

テレビがつけっぱなしだった。

時間の感覚がなくなった。

日中は、ワイドショーを聞きながらスナック菓子を食べ、夕方はニュースを聞き流しながらワインを飲んだ。ゴールデンタイムの連ドラは、恋愛話ばかりでうっとうしかった。

彼のものを見る度に、思い出がよみがえってきて、涙が出た。怒りとくやしさと悲しみで、胸が張り裂けそうだった。こんな苦しい思いをさせる彼のことを恨んだ。

そして、3日が過ぎ、4日目の朝。ベッドで目覚めた私がびっくりしたのは、大量の髪の毛が抜けて、枕にびっしりついていたことだった。

彼が浮気した理由

その抜け毛の多さに仰天して、慌てて浴室の鏡を見た。そこに映っていたのは・・・、髪を見出し、肌がボロボロで、ぶよぶよと脂肪に埋もれた山姥のような40女だった。

「醜い・・・」

はだけた胸からは、あばらが丸見えで、下腹部には脂肪が層になっていた。

このとき、私は、自分が愚かだったと気づいた。私はこの12年、何の努力もしてこなかった。私はどんどん年を取り、こんな醜いオバサンになった。彼は、イケメンで私よりも7歳も若く、こんな山姥とは釣り合わない・・・。

くやしくて、涙が出た。彼のことを疑いもしなかった自分がバカだったと思った。

彼は、もともと浮気性な人ではない。私は、自分に何も手をかけてこなかった。彼との愛情に甘えて、自分を少しも磨いてこなかった。そのツケが回ってきたんだ。これは、私の怠惰が招いた別れだった。

私の決意

「くやしい」

心の底から悔しいと思った。涙が出た。時間を巻き戻したいと思った。自分はなんて、怠け者だったんだろう。私がどんどん老けて醜くなっていくあいだ、彼は、輝いていた。彼が、他の女に魅かれたのは私が油断したからだ。

このとき、私の胸に、強い決意が沸き上がった。鏡の中の山姥の目を見つめながら、私は決意した。

「ぜったい、きれいになって、見返してやる・・・!」